愛知・窮迫愛・地球博の目玉企画の「サツキとメイの家」は完全予約制なのだが、その予約方法が変更になった。具体的にはローソンのLoppiだったのが葉書申込+抽選方式となった。
この件について、スタジオジブリが「おわび」という形で告知している。この告知文がいかにもイベント屋が書いたイヤラシイ文面で、気分が悪くなる。いったいこの文は誰に対して何を弁明しているのだろうか?
そもそもこの問題は、予約券発行リクエスト数についてジブリの読みが甘かったことと、Loppiが大量リクエストに対応するノウハウを持っていなかったことが原因である。しかも多いとはいってもたった6万である。こんなのチケットぴあとかチケットセゾンだったら楽勝で処理できる。
つまり、ノウハウを持ってないLoppiに独占的扱いをさせたことがそもそもの間違いだった。
もともと予約システムは博覧会協会も持っていたわけで、これを使わず、あえてLoppiを採用したのはスタジオジブリの強い意向のためというのは、誰の目にも明らかである。
告知文では、博覧会協会の予約システムのこれがダメあれがダメとけなし、ローソンはこんなことやあんなことの便宜を図ってくれたと、Loppi独占にした言い訳をしている。
でも別にローソンの社長が仏心を出してポケットマネーでやってるわけじゃない。販促経費として必要な出費をしてるだけだ。後発であるLoppiがジブリブランド商品を独占的に扱うためにいろいろサービスしてるというだけで、純粋なビジネス活動にすぎない。
もちろん、スタジオジブリは民間の営利企業なのだから、販売チャンネルをローソンに独占させようがどうしようが、それはその会社の自由である。でもそれで失敗したならその責任は100%ジブリとローソンにあるといえるだろう。
また告知文では、YAHOOオークションが悪者扱いされている。
弁護士は無料券でもダフ屋行為だといっているが、確かに転売目的で入手した場合はその通りだ。しかし、転売目的で入手したわけではないチケットの転売行為は完全に合法である。むしろ止めさせようと圧力をかける行為が独占禁止法違反に触れる可能性がある。ダフ屋行為が規制されるのは、各都道府県の条例に定めがある場合のみであり、業として転売目的でチケットを入手し売買する行為が違法とされるのであって、一般人が余ったチケットをオークションサイトで売買する分については合法である。
合法の商行為について、弁護士を立てて「それは悪質行為の可能性があるから商売やめろ」と証拠もなしに可能性だけで脅す方こそ、むしろ企業舎弟的な悪質行為なのではないか? いつからスタジオジブリ様はそんなに偉くなったのだろうか?
この件について、私はYahooオークションを100%支持する。企業舎弟の恫喝に折れて引っ込めた楽天その他の業者を100%支持しない。事なかれ主義で筋の通らない圧力に屈する企業は、早々に市場から退場してほしいものだ。
こういう場合は、予約券を記名式にし、来場時に身分証を提示してもらうという対策が可能だ。2002年のワールドカップの時もチケットは記名式だったはずだ。この方法は経費がかさむのは事実だ。しかしこの経費は絶対に必要な経費だと私は思う。つまり、今回の問題はかけるべき経費をかけなかったのが原因なのだ。
今回Loppi(ローソン)は自力では処理が出来ないと白旗を上げ、博覧会協会に丸投げという形に決着した。博覧会協会の意向に逆らってLoppi独占にしておいていまさらそれはないだろう。それでも、「サツキとメイの家」が目玉企画なだけに博覧会協会も受けざるを得ないんだろうな。
葉書抽選はかなり経費がかさむはずだが、これを負担するのはどこなのだろう? 他人事ながら心配である。
最後に言いたいのは、この告知文には実際に「サツキとメイの家」を見学するお客様の視点がまったくないということである。形ばかりの「ご迷惑おかけしました。申し訳ありませんでした」と書いてあるだけで、顧客の立場がまったく無視されている。それどころか「ヤフオクなんかやってるヤツは客でもなんでもない。来るな」と言外に匂わせている。お客様にはまったく関係のない勝手なビジネスの都合で、歪んだ形の予約券配布システムをお客様に強要しておいたあげく、早々に破綻して逆切れしている以外の何物でもない。
いったいこの傲慢さはどこから来るのだろうか? 関係者にしか目が行かず最終的なお客様を軽視する姿勢を見ていると、宇宙戦艦ヤマトのプロデューサーの西崎義展氏を連想してしまう。ビジネスがうまくまわって皆がハッピーなうちはいいが、少しでもつまずくとアッという間に転落していくような気がしてならない。