JJエイブラムス監督のスタートレックを観ました。
劇場版スタートレックの11作目にあたる本作ですが、11という数字はつけず単にスタートレックだけのタイトルになっています。これは前作までとの連続性を断ち切り、まったく新しい新作映画として勝負するということでしょうか?
監督はLOSTやHAKAISHAで有名なJJエイブラムス。脚本も書いています。
一番最初のThe Original Story(TOS)の直前、どうやってカークがエンタープライズの艦長(船長)になったかがわかるストーリーです。しかし、タイムパラドックスによりTOSやそれ以降のテレビシリーズ/劇場作品とは異なるパラレルワールド世界という設定なので、いい意味で大胆に設定を組み替えています。確かに本作はリック=バーマンには絶対作れないだろうなと思わせる大胆な設定変更は、個人的には大成功だと思います。
カーク誕生の秘話や幼少期のエピソードを語りながら、NCC1701 USSエンタープライズの初航海などのエピソードが順々に描かれていきます。TOSのレギュラー陣、カーク、スポック、Dr.マッコイ、スールー(Mr.加藤)、チェコフ、スコット(チャーリー)、ウフーラ(ウーラ)がみんな若い。そしてオリジナルキャラによく似ています。若いからアクションも派手で面白い。各キャラごとにそれぞれ見せ場があってキャラ紹介みたいになっています。
TOSで一番人気があるキャラは当然スポックでしょうが、本作の彼はいつにも増して過酷な運命が待ち受けています。スポックのオリジナルを演じたレナード=ニモイ(本作にも出演します)はユダヤ人で、バルカン人という種族の設定にユダヤの風習や思想を取り入れたことは有名です。本作のバルカン人はますますユダヤらしくなっています。詳細はネタバレになるので省略。
CGや背景画もかなりクオリティ高いです。バルカン星の都市の画はいかにも砂漠の中の街という感じがしてよかった。でもエンタープライズ建造を地球の地上基地でやってるのはぶっとびました。スタートレック世界のスターシップは周回軌道上(宇宙空間)で作ってたはずだけど、どうしてわざわざ地上でつくる設定に買えたのか、ちょっとよくわかりません。単にJJエイブラムスの趣味なのかも。趣味といえば巨大爬虫類系のモンスターはまた出てきます。こういうの本当に好きみたいですね。
字幕もパラレルワールドっぽく従来とはまったく違う訳語が多い。Captainが船長ではなく艦長になるのはまぁしょうがないとしても、First Officerはやはり副長と訳すべきでしょう。いくら何でもサブリーダーはないよなぁ。字数も多くなるしいいコトなし。
スタートレックの知識がなくてもかなり楽しめる作品です。知識があるならなおさら楽しめそう。続編映画またはテレビシリーズが十分に作れそうな勢いがあります。ただし旧作原理主義な人にはちょっとつらいかも知れません。