パラサイト 半地下の家族
パラサイト 半地下の家族を観ました。カンヌ映画祭の最優秀賞パルムドールを初めて受賞した韓国映画です。原題は寄生虫、台湾では寄生上流、香港では上流寄生族、そして中国では政府により上映禁止処分になってます。アツいねえ。
韓国の上流家庭の生活に寄生するように関わっている底辺の家庭の話ですが、完全に寓話でありリアリティはありません。2018年のパルムドール受賞作 万引き家族にも通じるものがあり、両極端に階級が分断された構造をユーモアで語る社会派作品なのです。
韓国社会の歪みを的確かつ笑いとして表現していてかなり面白いです。
米国の影が強いのも北朝鮮の脅威もその他いろいろな歪みがテーマとなっています。
主人公ファミリーは決して無能ではなくむしろ有能なのですが、社会的構造または運が悪いだけで半地下の劣悪な住居に住むしかない貧困生活をおくっています。そして職不足の社会環境の中、生き残りをかけて金になる職を探しているのです。
水害シーンがあるので、台風19号の大水害の直後だと日本公開は難しかったかも? 水害においても金持ちの感想と、貧乏人の生活への影響は大違いで、金持ちはそのことに気づくこともしないのです。
金持ち一家の大黒柱の社長さんだけは、貧乏人からの搾取の上に自分て血の生活があると理解している風がありますが、妻も娘も教養はあっても完全に無自覚なイノセント。息子はもはや歪みのために奇行を繰り返す始末。まったくハッピーではなく、最後もハッピーでは終わらないあたり、ゾクゾクする映画です。
主要キャラの中で一番悲惨な境遇にある男が「社長をリスペクト」と叫ぶ矛盾。なぜか一番被害を得る層が支配層を支持してしまう歪みがよく現れていると思います。