でかいの日記帳

2009/12/31 Thursday

バッタ君町に行く

Filed under: - dekaino @ 10:27 このエントリをはてなブックマークに追加 水冴茵のはてなBookmark被リンク数

バッタ君町に行くを観ました。
フライシャー兄弟の会社フライシャー・スタジオの集大成とも言える長編アニメ映画。公開は1941年、日本が対米開戦した直後です。
ディズニーアニメとは異な斬新な映像技術と発想で作られた作品で、今の時代に見ても十分に楽しめます。
主要キャラはすべて街中に住む虫たちで、人間は虫たちにとって災厄ともなれば恩恵ともなるいわばあらぶる神のような存在として描かれます。描画技術も使い分けており虫たちは手描きアニメ、人間や人間の乗り物はロトスコープという技法で描かれています。今風にやるなら手描きアニメと3DCGアニメをうまく合成、使い分けているようなもの。このおかげで人間と虫たちの間に超えられない隔絶がある世界観が巧く表現できています。

本作の原題はHOPPITY GOES TO TOWN。HOPPITYは主人公のバッタの名前です。しかしタイトルとは異なりストーリーはHOPPITYが生まれ故郷の街に帰ってくるのであって街に行くわけではありません。この時代は内容とタイトルが食い違っててもあまり気にしなかったのでしょうか? それとも配給会社が適当につけたタイトル名なんだろうか?
とにかくHOPPITYという名のバッタが主人公なのですが、こいつがどうにも主役らしくないんですね。取得といったらダンスが上手くて女子にモテるだけで、キホンいい加減なC調キャラ。特に何かをなしとげようという意思があるわけでもなく、ただ面白おかしく女の子と遊んでいるだけで、ハッピーエンドになってしまう。今風の日本アニメの何の努力もしないのに幸運が空から降ってくるみたいな非常に受身な話です。

世界大恐慌から大不況の10年を過ごした当時のアメリカはこのような話が受けたのだろうか? 今のアメリカ人のマッチョ思想とはかなり違う雰囲気です。
また、高層ビルの建築現場の様子が事細かに描写されるのですが、さすが1940年代だけあって建築技法がかなり違います。溶接はなし、すべての鉄骨はリベット錠で連接。なんと壁はレンガ! 高層ビルにレンガにモルタル。同時期の高層建築の代表格のエンパイアステートビルもレンガが大量に使われているそうです。

不況の時代だからこそ為し得たものすごい人海戦術的物量で作られたアニメ長編映画です。

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