でかいの日記帳

2012/4/14 Saturday

ヒューゴの不思議な発明

Filed under: - dekaino @ 12:23 このエントリをはてなブックマークに追加 ャ若眼筝茘違堺、里呂討Bookmark被リンク数

ヒューゴの不思議な発明を観ました。ベストセラー児童文学のThe Invention of Hugo Cabretを映画化した作品です。
フランスのパリの鉄道網の中心リヨン駅に隠れ住む少年の物語。物語の舞台はパリですが、原作小説の作者はアメリカ人で、原著も英語で書かれています。
邦訳版は人名地名はフランス語読みとなっており、タイトルも「ユゴーの不思議な発明」となってます。北欧(古ゲルマン)神話のオーディンの家来の鴉 Hugin(フギン)が由来の伝統的名前で、フランスではユゴー、英語ではヒューゴーと読みます。

映画はもちろん登場人物は英語を話し固有名詞も英語読みです。映画の邦題もどういうわけか小説の邦訳のタイトルのユゴーは採用せず、ヒューゴの不思議な発明となっています。
だからと言ってフランスに愛がないわけではなく、フランス文化、特にフランス発祥の映画文化へのリスペクトが強く感じられるお話です。

予告編では現代より昔の時代のヨーロッパの駅に住む機械好きな少年と知り合いの少女が冒険する映画だよってメッセージしか伝えていなくて、ありがちなアクション映画かと思っていました。まさかリュミエール兄弟とかジョルジュ=メリエスが出てくる話だったなんて予告編からじゃ全然わからない。もし知っていればもっと早く観にいったはず。予告編の作り方間違っている。19世紀〜20世紀初頭の職人の手先の匠の技術からなる工芸品が大きいテーマとなっており、自動書記する機械人形も物語で大きな役割を果たします。
きめ細かい時代考証がなされており、映画後半はさながらNHKだかナショナルジオグラフィックが製作したメリエスの伝記番組のようなリアリティあふれる再現映像が楽しめます。これがまたいいんだよね。

月世界旅行(メリエス)

ハリウッド作品らしくリュミエール兄弟やメリエスを持ち上げる反面エジソンのエも出てこないあたり、本当にエジソン的なものが嫌いなんだろうなと思わされます。でもできればメリエスが落ちぶれていく原因となったライバルの映像作家(たとえばフライシャー兄弟)やビジネス上の敵(たとえば邪悪なエジソン!)についても公平な視点で描写して欲しかったと思います。戦争だけが原因ではないんだよね。そこをぼやかして仕上げているあたり児童文学の限界なのかも知れません。

フライシャー兄弟が道化師ココ(インク壺小僧)でやっていたように、メリエスも劇場でフイルムを使ったトリックで手品興行していたことは間違いないわけで、資料が散逸しているのはわかるけど、そこを想像力で補って再現してほしかった。今の映画とも昔の無声映画とも違う、生パフォーマンスとフイルム上映のコラボって今でもすごく魅力的だと思うのです。

映画史初期の熱い空気を感じられる良作。アクション映画でもファンタジー映画でもなく、ノンフィクション作品として楽しんでほしい作品です。

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