ジョーカー
ジョーカーを観ました。
精神疾患があり不遇な人生を生きてきたピエロの格好をしたコメディアン アーサーがジョーカーになるまでの物語。簡単に重が入手できる、そして弱者救済目的の福祉制度が冷たい理屈でばんばん打ち切られていく、そういう米国の世情を反映させたゴッサムシティが生んだトリックスター ジョーカーの誕生秘話です。
ジョーカーはともかく、後のバットマンとなるブルース=ウェインの父、トマス=ウェインのキャラがすごかったです。トマスは上流階級の紳士であり、ゴッサムシティをよくするために自らの信じる政策を推し進める高潔な人格者であり、法的にも倫理的にも非の打ちどころかない人物なのです。ですが、アーサーやジョーカーを支持する庶民にとってはトマスは憎悪の対象なんですね。弱者に寄り添わない情の薄い金持ちの権力者であり、庶民を苦しめている社会の象徴的存在なのです。何も悪くないので憎まれるスケープゴート的に殺される富豪。資本を独占するものはたとえ善良なイノセントでも憎まれる、これこそが資本主義社会の病理ですね。
上映を自粛した映画館があるのもわかる気がします。日本も一歩間違えるとジョーカーが誕生してしまうかもしれません。