謝罪の王様を観ました。朝ドラあまちゃんのヒットで一般人にも脚本家としての認知が浸透したクドカン最新劇場作品です。
ネタそのものは新しくない。というかどげせん、謝男(しゃーまん)の二番煎じですよね。
ただ板垣恵介のドゲザ哲学は最強の格闘技であり道でありスピリチュアルである体育会的思想なんだけれど、クドカンは芸能系というかお笑いというかシチュエーションコメディなんですよね。きっちり設計された状況が面白く、メインエピソードと複数のサブエピソードが同じ設定世界の中で絡んでいくという、いかにも北米TVドラマにありがちな話づくりになってます。
それに加えてマニアックな「わかる人にだけわかればいい」というネタが散りばめられているわけですね。
本作は劇場作品なだけに予算も潤沢だったようでかなり無駄遣いしているようにも見えます。もっと有効に使えばいいのにって低予算で作ってる人からは恨まれそうなくらい無駄に使ってますね。
予算の割にリアリティとか考証にもあまりこってないのがちょい残念。こういうコメディは嘘をつく必要がない部分は徹底的にリアルにしておくことで、嘘もリアルになる効果があるんですけど、海外某国との国際紛争のくだりはいかにも嘘っぽすぎてテレビなら許せても劇場作品でこれはってくらい薄っぺらいのはどうかと思いました。
いくらなんでも綿花の重要な輸入取引国なら大使館かせめて公使館があるだろうし、現地スタッフが会談のセッティングとか文化の違いのレクチャーをしないのはいかにも嘘っぽすぎて耐えられない。首相が出向くならせめて政府専用機が離着陸する絵ぐらい出さないとね。
町内会の抽選でハワイ旅行が当たって大喜びするような海外旅行が珍しい時代じゃないんだから、いくらなんでもこんな茶番じゃ一般観客を騙せません。クドカンのここらの肌感覚は昭和のまま止まっているような気がします。だから面白くもありガッカリ感もあり。
歌と踊りはもっと本編にも絡めて前編インドのミュージカルっぽくした方がよかったかも。ああ今はボリウッドっていうんだっけ?
日本人だけでインドの話を作っちゃった大映の釈迦まではいかなくとも、もうちょっと工夫次第で頑張れたかも。
コメディとしては当たりの作品だと思います。