でかいの日記帳

2006/8/28 Monday

太陽

Filed under: - dekaino @ 7:31 このエントリをはてなブックマークに追加 紊修里呂討Bookmark被リンク数

太陽を観ました。
ロシア人のアレクサンドル・ソクーロフが撮った昭和天皇の終戦前後の心情をつづった映画です。ミニシアターランキングでは堂々の1位。かなり注目されているようです。

観た映画館は横浜のムービルです。以前にも書いたように、休館寸前のところを東急に救われた横浜老舗の映画館です。以前の懸念点だった「東急レクリエーションの映画鑑賞券が使えるか?」は解決しました。使えます。東急太っ腹だなぁ。営業形態は昔ながらのいつでも出入り自由、出ない限りは何回でも観賞可能です。シネコンによくある全席指定総入替制とは大違いです。たまにはこういう小屋もいいですね。上映ラインナップの方は本作のようなマニアックなものもやるようになってきたので、東口の109シネマズとの差別化を計っているのでしょう。

本題に戻って、太陽の話です。主演の裕仁天皇を演じるのはイッセー尾形。資料映像をおもっいきり研究したようで、まさに形態模写のような演技です。イッセーらしいといえばイッセーらしい。彼だけが何の先入観がなくても、昭和天皇だとわかります。
それに反しそれ以外の役は作劇上の役割でしかありません。キャストの役名も役職でしか出てません。侍従とか大臣とか米軍の将軍とか。
日本の首相も東条とは似ても似つかないどころか誰が首相なのかすらわかりません。御前会議に出てた誰かなんだろうけど。進駐軍の司令官もマッカーサーと似せようともしていないし、劇中に固有名詞で呼ばれることもありません。ただ General ってだけです。
つまり、ヒトラー〜最期の12日間のような綿密な取材の上に再現したドキュメンタリーではなく、ほぼ仮想戦記に近い想像の天皇像です。
おそらく日本側の資料を管理している人の協力をまったく得られてないのでしょう。リアリティさを期待して観たらガッカリすると思います。
イッセー尾形の演技以外リアルな部分はありません。イッセーにしても皇太子への手紙を現代仮名遣いで書いちゃいますから、時代考証的にはかなりぬるいのです。

東京空襲のシーンはハウルの城の空襲シーンのように生物的な飛行機の形をした化け物が爆弾を落とすという幻想的な表現でお茶を濁しています。

あと皇居(江戸城)の車両での出入りのシーンはミニチュアのジオラマを作って表現しているのですが、これがいい出来です。昔の円谷特撮のような精巧な出来です。エンディングのクレジットが流れるときに画面に出る上空から見たマットペインティングもいい味だしてます。

日本もこういう作品に資本参加するなり、資料を提供するなり出来ないと文化的にダメと言われてもしょうがないと思う。負の遺産を隠すだけではダメでしょう。

2006/8/27 Sunday

花田少年史 幽霊と秘密のトンネル

Filed under: - dekaino @ 8:51 このエントリをはてなブックマークに追加 援医綛翫 綛初腱絲潟のはてなBookmark被リンク数

花田少年史 幽霊と秘密のトンネルを観ました。

夏休み定番のちょっと怖いお話の映画。かなり出来がいいです。

映画は原作の設定をうまく活かしているが、いい意味でまったくの別の味になっています。舞台も都会の下町ではなくて瀬戸内海の港町に変更されてます。ロケ地は広島県忠海の風景がとにかく美しい。私も校庭のすぐ外が海になってるあんな小学校に通ってみたかった。
エピソードも小さい港町にありがちないわゆるショッぱい話を絡み合わせ感動を呼びます。ただ過去に戻るくだりは映像的には面白いんだろうけどちょっと安易過ぎかも?

俳優陣も巧い人ばかりなので安心してみていられます。

もっともすごいのは女子高生の幽霊役の安藤希
安藤希(24)
安藤希に幽霊とか妖怪やらせたらとにかく巧いです。24才にしてセーラー服着ちゃいます。巨大松坂慶子と戦ったのはもう6年前か… 安藤希の怪演ぶりを見るだけでも元が取れます。
篠原涼子も妙におミズっぽい主婦を熱演。しかし若い頃のミュージシャンの卵時代は渋谷じゃなくて原宿にしてほしかった。

松竹/読売制作。日本テレビはゲドなんか宣伝してないでこちらに注力すべきです。

2006/8/25 Friday

劇場版仮面ライダーカブト

Filed under: - dekaino @ 0:11 このエントリをはてなブックマークに追加 雁篁≪ゃ若のはてなBookmark被リンク数

劇場版仮面ライダーカブト GOD SPEED LOVEを観ました。併映は轟轟戦隊ボウケンジャー THE MOVIEです。

まず、本作品はテレビシリーズを観ていないと楽しめません。観ているなら大変面白いです。最初は去年の劇場版響鬼と同じノリのパラレルワールドものだと思わせておいて、テレビシリーズに直結するすごい仕掛けがあります。はっきりいって油断して観てたら最後の神展開にシビれたー。去年の響鬼の駄作さをうまく逆手にとられた形!
響鬼と七人の戦鬼があまりにひどくてもうライダー映画はコりたなんて思ってる人、騙されたと思って今年も観てください。
テレビシリーズのレギュラーなのに映画に出てこないキャラも理由があって出てこないのだと思われます。すごい伏線です!

ただちょっと残念なところは、岬さんが出番が少ないところ。カブト最大の見所の岬さんのコスプレも謎の女幹部軍服だけでいまいちです。
でも今年はマスター・オブ・サンダー 決戦!!封魔龍虎伝でライダー女性陣の活躍を観られるのでそっちで我慢しておきましょう。

2006/8/24 Thursday

轟轟戦隊ボウケンジャー THE MOVIE

Filed under: - dekaino @ 7:59 このエントリをはてなブックマークに追加 莉莉宴潟吾c THE MOVIE のはてなBookmark被リンク数

轟轟戦隊ボウケンジャー THE MOVIE 最強のプレシャスを観ました。

なんか安っぽいエロゲのようなストーリー。最強のDNAを得るために少女型エイリアンがレッドの人にのしかかって「私とひとつになりましょう」とか言います。
こんなの子供に見せちゃっていいのだろうか? まぁ星井七瀬なんで映像的には色気ゼロなんですけどね。それにお約束どおり新メカのお披露目があり子供達は大満足でしょう。
流水プール事故のために急遽入れられた冒頭テロップがかなり唐突です。

2006/8/23 Wednesday

日本沈没 (2006年版)

Filed under: - dekaino @ 7:46 このエントリをはてなブックマークに追加 ユ羃羃 (2006綛雁)のはてなBookmark被リンク数

日本沈没 (2006年版)を観ました。いわずとしれた超名作のリメイクです。
監督は特技監督では定評高く監督では悪名高い樋口真嗣です。本作もかなり悪い評判が流れまくっておりました(1973年版は出色の出来だったしね)。

とはいえ、ローレライに比べればよく出来ているので安心ください。前作の存在を無視して評価すれば最近の邦画としてはまぁまぁの出来だと思います。
ただ前作の売りだって日本社会のタブーに挑戦するようなエキセントリックさはありません。本当に穏健なストーリーです。物議をかもすブもありません。
ここが樋口真嗣が好んで起用されるポイントなんでしょうね。いわゆる作家タイプではなくて職人タイプ。クライアントが指示した制限範囲から決してはみ出すことはなく、その中で最大限いいものを作る。こういう人が作るものはたいして面白くはないけど安心で商業作品界では重宝されるんでしょう。
たとえば、米国に見捨てられたとかセリフの端々に前作のエキセントリックさの片鱗が残ってますが、セリフ以上の表現がないのも自主規制なんでしょう。在日米軍が日本から撤退する時に邪魔な日本国民をばりばり撃ち殺すみたいなシーン(実際そうなるでしょう)等は絶対出せない/出さないってことですね。

作家タイプの代表格の富野なんかは腹の中で舌を出しながら平気でスポンサーを騙すから、作品に毒があって面白いんだよね。もちろんそのせいで干された不遇の時代もあるわけだが。

特撮とか科学考証は中途半端によく出来てます。ただ最後のオチは科学考証的にはむちゃくちゃね。とにかくドラマの筋のために何でもあり状態にしちゃった。まさに無理が通れば道理が引っ込む状態。

たぶん日本以外全部沈没の方が楽しめると思います。

2006/8/18 Friday

惑星Ceresの読み

Filed under: - dekaino @ 7:30 このエントリをはてなブックマークに追加 Ceres茯燭里呂討Bookmark被リンク数

IAUで惑星の定義案が提案され、これが確定すると惑星が3つ増えるとの報道が各新聞紙で行われていますが、新たに惑星に昇格する候補の一つ、小惑星Ceresについて各社の表記が分かれています。

朝日 セレス(ケレス)
読売 ケレス
毎日 セレス
日経 セレス
産経 セレス
共同通信 セレス
時事通信 セレス

由々しきことにセレス表記が多数派だ。これは一大事。
そもそもCeresはローマ神話の穀物をつかさどる豊穣の女神です。天体の名前にローマ神やギリシヤ神の名前をつけるのはよくある話なのですが、これを日本で呼ぶときはラテン語読みを使うことになっています。セレスはCeresの英語読み(英語なまり)、ケレスが正しいラテン語読みです

どうやら通信社が配信したニュースが「セレス」と誤記・誤訳したモノで、それを各新聞社がそのまま採用してしまったようです。朝日が一応 セレス(ケレス)とカッコつけしてますが、ここはケレス単体かせめてケレス(セレス)にしてほしいところ。そういう意味で読売新聞は偉い!

今の海外ニュースはほとんど英語が原文で、英語を和訳する人は基本英語読み、別言語による慣習読みがカタカナ語として定着してる場合だけそれを採用という方針みたいです。英語読み以外は慣習読みだって考えが、英語至上主義っぽくていやですね。
私は、ケンタウルス座をセントーラス座って呼びたくないし、ケンタウルス座アルファ星をアルファ・セントーリなんて呼びたくないです。Ceresをセレスと呼ぶのも同じことなんだよね。

2006/8/14 Monday

パイレーツ・オブ・カリビアン/デッドマンズ・チェスト

Filed under: - dekaino @ 7:56 このエントリをはてなブックマークに追加 ゃ若祉祉≪/潟冴祉с鴻のはてなBookmark被リンク数

パイレーツ・オブ・カリビアン/デッドマンズ・チェストを観ました。
タイトル長すぎ! とにかく何でもカタカナにした邦題やめようよ。前作のPirates of Caribbean/Curse of Black Pearlの邦題はパイレーツ・オブ・カリビアン/呪われた海賊たちでまだ副題部分は和訳されてたのに、本作の邦題は芸がなさ過ぎ。

映像は大変面白いです。カートゥンの絵コンテをそのまま実写で撮ってみましたみたいな映画です。アニメではなくてカートゥンね。ぺちゃんこに潰されて平面ガエル状態になるのだけは出てこないけど、それ以外のカートゥン的表現はだいたい出てきます。くだらないことを大真面目で作っていて笑えます。

ストーリーは決着つきません。というか三部作のうちの第二作みたいな終わり方。帝国の逆襲とかMatrix:Reloadedみたいな感じ。何も決着していないどころか問題増えてんじゃん!
オチはクレジットのエンドロールの後に一応あるのですが、これがオチかよっと必ず叫びたくなります。いい意味でふざけた映画です。

2006/8/12 Saturday

森のリトルギャング

Filed under: - dekaino @ 16:06 このエントリをはてなブックマークに追加 罍c潟阿里呂討Bookmark被リンク数

森のリトルギャングを観ました。ドリームワークスの3Dアニメです。

本作の主人公と仲間達は、森の動物です。それもただの動物時手はなくて小動物です。だから主人公達から見た人間は巨人のように表現されます。ANTZ!バグズライフのようなノリです。しかし小動物たちは人間の言葉を理解します。人間は動物の言葉がわからないみたいですけど。ドリトル先生みたいな世界観なのかも知れません。
ドリームワークス作品らしく、ディズニーにはできない皮肉なメッセージも、シュレックほどではないですがふんだんに入ってます。

亀がマリオに出てくる亀(ノコノコ?)そっくりです。いや亀なんだから似てて当然なんだけど、すごいノコノコ臭がするぞ。いつオーバーオールを着たヒゲのイタリア人が出てきて踏みつけるか気になってしようがありませんでした。(イタリア人が出てくるかどうかは秘密)

今年の夏、子供を連れて行くならゲド戦記じゃなくて本作にすべきです。誰にでもお勧めできる良作。でもアメリカ大衆文化に通じてるほうがより楽しめるかも。

2006/8/5 Saturday

M:i:III

Filed under: - dekaino @ 15:56 このエントリをはてなブックマークに追加 M:i:IIIのはてなBookmark被リンク数

M:i:III(Mission Impossible 3)を観ました。
主演はシリーズ通して出ているトムクルーズ。監督はテレビドラマで大ヒット連発中のJJエイブラムスです。

スパイ大作戦の世界を変に壊さず活かしたまま、現代的なテーマでアクションを見せる良作でした。監督のJJエイブラムスはスタートレック映画の次回作を撮る予定なのですが、これならST10ネメシスのようなゴムタイヤがついてるマシンが出てくるスタートレック映画のような世界観を破壊するような作品は作らないと信頼できます。

本作は大変面白いのですが、アメリカ本国ではいまいちの興行成績のようです。トムクルーズのカリスマ性が落ちたのが原因とも言われてますが、ストーリーせいもあるかも。今回も味方の中に敵がいるお決まりのパターンで、アメリカ政府内の好戦派vs穏健派という構図になっていますが、ここで穏健派が勝ってめでたしめでたしというあたりがが今の戦争に浮かれたアメリカ人にはウケが悪いのでしょう。もし、反米諸国にわざと新兵器を流して戦争を誘発してから叩きに行くという陰謀をもつ好戦派が勝つストーリーだったら外国でのウケは悪そう(親米同盟国ですらシラケるでしょう)。なのでワールドワイド市場を考えればこれでいいのかもしれません。

2006/8/2 Wednesday

ゲド戦記

Filed under: - dekaino @ 9:56 このエントリをはてなブックマークに追加 蚊荐のはてなBookmark被リンク数

ゲド戦記を観ました。言わずと知れた今夏の話題作。原作は読んでないので、映画を観ただけの感想。
対象年齢が高いです。もののけ姫と同じかやや高いくらい。もし子供を連れて行ったら、泣き叫んだ挙句退屈して寝てしまうこと間違いなし。
映像はきれいだけど、話は平凡な感じです。キャラがみな薄っぺら。駿監督ではよくあった悪役キャラの浄化というものもありません。

本作は息子の吾郎を御輿にしてでっちあげた鈴木敏夫プロデューサの起死回生の一発だったんでしょうけど、やはりジブリは高畑・宮崎駿の個人ブランドの殻を破ることはできない気がします。もし本当に宮崎吾郎を映画監督としてプロデュースするなら別ブランドを立ち上げて地道にやるしかないでしょう。客は入らないだろうけど。
ジブリもタツノコプロのように過去の資産を管理する会社になっていくのが正しい姿なのかなと思ってしまいました。

時をかける少女

Filed under: - dekaino @ 8:05 このエントリをはてなブックマークに追加 絨絅海里呂討Bookmark被リンク数

時をかける少女を観ました。何回も映像化されている筒井原作の古典SFですが、今回は細田守によるアニメ版です。
傑作です。なんでこんなに上映館が少なく上映期間が短いのか謎です。

かなり話が翻案されており、原作の主人公の芳山和子の姪の紺野真琴が主役になった後日談的物語になっています。和子本人はなぜか上野の国立博物館の学芸員をやって「魔女おばさん」と呼ばれています。白衣が似合う薬理学者ではないのです(旧作ファンがまず驚くところ)。

一目見てわかるくらい国立博物館の館内は忠実に描写されています。ペルリンの至宝展のポスターが貼ってあることから、この話は2005年の夏の話だってわかります。上野の博物館ファンなら館内シーンだけでも見る価値あり。かなり手間かけてロケハンしたと思われます。

タイムリープの仕組みも原作と変わっており、文字通り跳躍(リープ)するだけとシンプルで絵になりやすいようなってます。確かにラベンダーの香りってのは映像化しにくく、特にアニメだとつらいだろうな。タイムリープシーンはアニメ的で面白い映像表現になってます。しかしラベンダーの設定の残滓として、和子の部屋には高校時代の写真の隣にラベンダーが飾ってあります。原作や大林版を知っている人ならニヤリとするシーン。和子の高校時代にもなにかしらの事件があったことが暗示されます。真琴の記憶も消されなかったのだから、和子も深町の記憶が残っているのだろうか?

ラベンダーの設定がないと理科室がキーポイントの場所になってるのもイマイチ必然性がないのですが、学園内の特殊な場所って意味で必然性があるのかなぁ? ただの旧作ファンへのサービスかも知れず。

主人公の真琴ははっきり言ってバカです。そのバカさはおバカな小学生男子代表ののび太に匹敵します。それも映画版ではなくてテレビアニメ版ののび太です。本作をドラえもんみたいって思う人も多いかも。タイムリープ能力を得たのがこんなバカで本当によかったです。これがデスノートのライトだったら大変です。人命を救うストーリーなので、トゥルーコーリングにかなりダブルところがあるのだけど、あっちは時をかける巨乳医学生でけっこう頭もいいみたいなので、本作は時をかける微乳おバカ高校生として差別化できているでしょう。

少なくとも子供を連れて行くならゲト戦記より時かけです。間違いない。

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