世界から希望が消えたなら。を観ました。幸福の科学の布教映画ですね。自分は幸福の科学の宗教をまったく信じてませんが、映画作品を楽しむ文脈で本作を観ました。千眼美子(清水富美加)も出てます。
タイトルの最後に"。"がついてるあたり、いまどきの方がのヒット作をちゃんと研究していますね。
でも正直本作は駄作です。というか信者に向けてのメッセージだけで、信者でない人に何かを伝えようとしていません。
幸福の科学映画で娯楽作として一番楽しめる作品は、自分は「君のまなざし」だと思います。教祖大川隆法の息子なのに脱会してしまった大川宏洋が監督かつ重要な役で出演している陰陽道系アクションなのですが、これは一般人も信者もどちらが見ても楽しめる逸品。
これにたいして本作は大川隆法がどうして妻(つまり宏洋の母)を捨てたか、言い訳に終始していてマジで部外者は鼻白むしかありません。
隆法の後継者と目されている次女がめちゃくちゃ持ち上げられているのは当然として、実際の大川隆法は長年自分を支えてきた元信者でもある妻を捨てて、若い信者の女と再婚してしまうのですが、ここらの若い女と再婚した経緯はガン無視です。ストーリー的には千限美子が演じる秘書の女が後妻に当たるのだと思うのですが、色恋沙汰とか不倫とかそういうノリはまったく出てきません。
2018年の「さらば青春、されど青春。」のように100%受け身で女の方から半ば襲われるようなアプローチをされるだけです。隆法はマジでM男体質なのに、よくまあ離婚とかできたものです。
実際は不倫のもつれで離婚なのですが、本作では宗教的な教えに反発して双方合意の上で綺麗に別れています。しかも子供たちも自分の意志で父の教祖様についていくという判断をします。
実際は息子は離反しちゃうわけですけどね。妻の方は完全に悪魔にとりつかれたとして追放に近い扱いになっていますが、息子の方は劇中ではひねくれているだけで悪魔にとりつかれたわけではない扱い。
これは宏洋が帰ってこれる場所あけて待っている構図ですね。宏洋くんは映画作りの才能があるので制作陣は帰ってきてほしいんだろうなあ。正直、宏洋が参加しなくなった後の幸福の科学映画はクソつまらないですよ。
本作の最後のハイライトシーンはロンドンの国際会議で教祖が信じる神の道を説くシーンなのですが、当然英語で話します。でも神が God と単数形に訳されてて、これだとキリスト教の神を指して、幸福の科学の神々にはならないんじゃないかなと心配。つーかもう日本人信者だけ相手にしてて海外向けのメッセージにはなっていませんね。幸福の科学は英国でも布教しているすごい教団なんだぜってコケオドシしてるだけです。病気も信心で治癒するみたいな表現は本当に害悪だと思いますね。医者の言うことより宗教信じるって先進国の市民である幸福を投げ捨てるようなものです。医者の言うことは聞こうぜ。
この流れだと幸福の科学映画はどんどん劣化するばかりでしょう。千限美子も宝の持ち腐れになってしまう。残念です。