ドラえもん のび太のひみつ道具博物館(ミュージアム)
映画ドラえもん のび太のひみつ道具博物館(ミュージアム)を観ました。
水田わさびドラの映画の中ではかなり面白い方だと思います。
藤子F不二雄原作の映画と比べてまるっきりFっぽさがありませんが、これはこれで現代風なのでしょう。
偉そうにしているボスに反抗心を持ちながら従うバイト君が今回のゲストキャラです。F原作では社長と平サラリーマンのような人間関係はあまり描かれないんですよね。どちらかというとフリーの職とか店を構える商売人と客の関係が多い。ドラえもんでものび太のパパの会社の部長やら社長なんて出てこないですから。
どうもこの手の、主人と奴隷、社長とヒラ、館長とバイト君みたいな人間関係は手塚治虫の匂いがします。ペプラー博士が男手ひとつで女児を赤子から少女まで育ててしまうのも手塚テイスト。娘が父に口うるさいのは手塚も藤子F不二雄も両方ありですね。
本作はドラえもんの魅力のひとつのヒミツ道具に焦点を当てた意欲作。はっきりいってヒミツ道具は便利すぎてたくさん出すと話が壊れてしまったり、設定に矛盾が出たりするものですが、今回は巧妙に既存の設定の延長線上でうまく矛盾しないストーリーを作り上げています。
どこでもドアや通り抜けループの類の超空間操作系の道具はブロックが可能ってことがわかっただけでも過去にたくさんあった矛盾ネタが解消されますよ。どこでもドア/通り抜けループのジャミングは窃盗防止のためには必須のテクノロジーだ。
まぁ最後に出てきた復元ライトはその存在自体が今回の話をぶち壊しかねないポテンシャルがあるのですが、そこは気づかないふりをしてスルー。ドラえもんのスルー力は世界一!!
また、今回はスネ夫が意外といい働きをします。ちょちょいと秘密道具を修理できるとかキテレツ君を上回る技術者の腕の冴えですよ。つーかしょせんキテレツは巻物に書かれた過去の技術情報を再現しているだけ、いわばスクリプトキディならぬスクロールキディだからな。今年のスネたまはマジかっこいいよ。
オチはあまりインパクトはない感じでちょっと不満ですが。まぁ子供向けドラえもん映画だとすればこんなもんなんでしょう。もっと黒い藤子F不二雄カラーを出すなら、ジンジャーはペプラー博士が作った身の回りの世話&愛玩用少女型ロボットだったってオチがよさそうです。ククルは気の毒ですが。
人間とロボット間の恋愛ってテーマになるとまた手塚っぽくなってしまいますけどね。
エンディングのPerfumeの曲もいいです。子供と安心して観られ作品。