ものすごくうるさくて、ありえないほど近い
ものすごくうるさくて、ありえないほど近いを観ました。
予告編の出来かかなりよく、予告編だけで言えばここ数年でトップクラスだと思います。予告編だけよくて本編がダメとか、予告編だけ見れば十分で本編は冗長なだけという映画はよくありますが、本作はそういうことはなく、本編も大変見ごたえがある作品でした。
予告編でわかる通り、911で父を失ったアスペルガーの気がある少年が、父の残した謎を追う小冒険を通じて、父の死を受容するまでの心の癒しのプロセスの物語なのですが、本編はもっと複雑かつ想像よりももっと暖かいストーリーです。
ニューヨークという移民の街と住民たちとの交流、母親は息子に無関心で放置していると思っているのは当の息子だけ。なかなかによく練られたシナリオで、しかもお涙ちょうだい風に泣かせるぞと気負っていない演出が好感もてます。
そして主人公の祖父も両親(高祖父)を米軍のドレスデン爆撃でなくして心に傷を負っているという設定のあたりはいかにもハリウッドらしい。正義とか悪とは愛国心的なものから距離をおき、このような紛争そのものが悲しく憎むべきという姿勢を打ち出しています。
911事件後10年という区切りにふさわしい作品だと思います。
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