劇場版ゲゲゲの女房
劇場版ゲゲゲの女房を観ました。
NHKの朝の連続ドラマでも有名な水木しげるの妻の布枝さんの自伝を原作とした、水木夫妻の貧乏時代をつづった映画です。
NHK朝ドラでは鬼太郎のアニメ化などで成功し、水木プロ20周年謝恩パーティまでやりましたが、本作では、布枝の結婚から水木しげるがテレビくんを発表して貧乏生活から脱出するまでが描かれます。
NHK朝ドラ版はなんだかんだいっても水木しげるが主人公でしたが、本作はNHK版とは異なり、本当の意味で布枝夫人が主人公。ずっと布枝夫人の視点で話が進みます。
クドカンの水木しげるは常人離れしてる水木しげる像をうまくひょうげんできています。向井理の水木は話せばわかる印象ですが、本作の水木はある意味で常人には理解不能な価値観をもっています。
そんな水木を時には愛し、時には喧嘩し、強く生きていく昭和の妻。そんな布枝夫人を吹石一恵が見事に演じます。松下奈緒じゃこうはいかない。
調布にある水木の家は忠実に1960年代を忠実に再現していますが、それ以外の野外シーンは21世紀のままです。たとえば東京駅は平成の大改修中たし、調布駅前にはパルコがあるし、そこらの道端には大規模マンションがあったりします。この割り切りようがいさぎよずてシュール。まるで大学の映研が撮ったみたいな映像です。
あくまでも描写は布枝夫人の内なる心情。ほとんどセリフもないのですがよく表現されています。
娯楽趣向は薄く、何か賞とかとってしまいそうな完全に芸術系の映画です。