プリンセスと魔法のキス
プリンセスと魔法のキスを観ました。ものすごい久々のディズニーの長編2Dアニメです。
21世紀のアメリカの劇場用アニメはほぼ全て3Dアニメです。その流れに逆らって渾身の想いで製作された作品です。
童話のカエルの王子ではプリンセスがカエルにキスをするとカエルは王子の姿に戻るのですが、本作ではカエルの王子にプリンセスじゃない女性がキスをしたらなんと女性の方がカエルになってしまうのです。
舞台はアメリカ南部ミシシッピ川流域のニューオリンズ市。時代は大型客船が外輪船であることから、おそらく100年ほど前、19世紀末か20世紀初頭ぐらいでしょうか。電灯はあるがラジオはまだない、世界大恐慌前の景気がよかった頃の古きよきアメリカの時代です。
魔法はメルヘン世界の古ゲルマン系の魔法使いではなく、黒人系文化のブードゥー魔法。
ただし良いブードゥー使いと邪悪なブードゥー使いの双方が出てきます。ここらはディズニー流ポリティカルコレクトって所でしょうか。音楽はもちろんジャズです。ジャズ、ジャズ、ジャズのミュージカル仕立てになっています。
作画には、当然のごとくかなり気合が入っています。特にカゲ、陰影がすごいです。
3Dアニメはモデリングを決め光源の位置を設定すると、陰影は物理的に計算された通りに画像化されます。しかし2Dアニメでは影もすべて手描きです。背景に投影される影を効果的に使うのがディズニー伝統の影表現。これは3Dアニメでは巧く再現できないのです。本作では2Dのよさを活かしてこれでもかというくらいに影が大暴れします。
また、主要キャラの顔には一段カゲがつくのですが、明るい部分とカゲっている部分の境界が線ではなくエアブラシ効果でぼやかしてあります。このボヤカシはものすごい手間だと思いますが、もう徹底的に描かれていてものすごい執念を感じます。もちろん脇キャラにはこんな手間のかかるような仕事されていません。ここぞというところのスーパー効果です。
ディズニー旧作アニメファンにたまらないのは、4本指の復活です! カエルに変身したとき4本指になるのです。これぞディズニー!
人間じゃないからOKって言い訳ができるってことでしょうか。もちろん人間形態では5本指です。
それにしても、カエルなのにヒロインらしくかわいらしく描くというあたりが神がかり的に巧いです。動物擬人化の技の冴えはさすがディズニーです。
本作はぜひ興行的にも成功してほしいものです。これがコケたら今後数十年はディズニーから長編2Dアニメが出ることはなくなるでしょう。頑張れ!
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