20世紀少年(第2章)最後の希望
20世紀少年(第2章)最後の希望を観ました。
全3章のうちの第二話目、2008年秋に公開された第一章の続編です。
第一章の記事では、だいぶつらいのではないかと書いたのですが、作り手側も同じ懸念があったようで、かなりのテコ入れ策がなされているようです。
まず、原作時の「ともだちの正体は誰?」で煽ることは完全にあきらめ、人間ドラマにだけ注力しています。とはいえ本作には登場人物が大量に出てくるので感情移入対象を厳選、遠藤カンナと小泉響子ふたりの心情描写を中心に作品は進みます。
時間軸としては第一章冒頭の2015年のうみほたる刑務所のシーンから始まり、ともだち暦時代に入るまでで終わります。初めのほうの中国マフィアとタイマフィアの抗争をカンナが止めるまではアクションも適度でテンポもよく、なかなか改善されているなと思いました。でも、ともだちランドに入ったあたりからどうしても原作をなぞるだけのダラダラ展開です。
しかし、人間ドラマ的にはそれなりに上手につくられています。カンナを演じる平愛梨も頑張っています。
この役が女優としてのラストチャンスというのが本人もよくわかっているようで、気合の入りようはものすごいものがあります。だからといってすごく巧いってほどでもないのが悲しいのですが… いつも睨みつける単調な表情で柴咲コウみたいな大味な演技しかできていません。
しかも脇役の小泉響子を演ずる木南晴夏がすごい巧い! オーラが出ていて完全に主役のカンナを食ってます。もはやともだちの正体なんてどうでもいいのだから、サダキヨが出てくるくだりは全部カットしてもいいはず。しかし、響子が拉致られるというカンナを絡ませずに思いっきり響子を活躍させられる美味しいシーンなので、あえてカットせずに木南晴夏の出番を増やした! と私には思えます。
もうひとつ気がついたことですが、今回は前作ほど制作費かかってません。かなり経済的に作られている感じ。1970年前後の再現シーンは極力減らし、派手な画面はCGまたはエキストラ(おそらく無料で動員)大量投入だけ。なんか作り方が東映の劇場版仮面ライダーっぽくて、厳しい予算の中でも頑張ってますよって声が聞こえてくるような絵作りです。
そういえば前回の公開時には制作費総額60億みたいな景気のいいこと言ってましたが、今回は具体的金額は全然出してしません。勝手な見積もりですが前回の半分も制作費使ってないんじゃないでしょうか?
続編を観て貰うためのテコ入れ策としてすごい露骨だなと思ったのは、エンディングクレジットでの秒読みです。「エンディングの後に次回作の予告があります」とテロップを入れるのなら普通だと思いますが、なんと次回予告まで後○○秒と言わんばかりに右下に残り秒数が表示されてカウントダウンしていきます。
まったくもってヒッシだな!
正直、この手の三部作の最終作って前の2作を観た人以外は観ないので、かなり厳しいことになると思われます。といって決着をつけるとなると本作みたいに制作費を削って水を濁すのにも限界があるだろうし、他人事ながらツラそうです。
原作厨にとってはやや期待はずれかな? 木南晴夏に関しては観る価値あり。