誰も守ってくれない
誰も守ってくれないを観ました。
殺人事件の加害者の妹を保護する警察官の話です。保護される妹は志田未来が演じます。
ひとむかし前のアメリカドラマで流行ったハンドカメラだけで撮影する手法が多用されてます。いわゆる臨場感を出すための演出。しかし2009年になってそれか〜という気もしないでもない。
他にもわかりやすく「リアルっぽさ」を出す演出が続発です。ネタとしてはなかなか深いと思うのですが、演出の底が浅くてちょってシラける感があります。
たとえば、15才の妹が携帯電話を操作するとピコピコ電子音がなります。いまどきクリック音が出る設定のままにしてる女子中学生なんていないよ! なんつーか、団塊の世代のお父さん達がこうあってほしいというファンタジーをすべて映像にしましたってノリの気持ち悪さがあります。まるで弘兼の黄昏流星群のようです。
他にも
・インターネットで某巨大掲示板はモラルなき無法地帯で、実名・住所・電番さらしだらけ
・そして書き込んでるのはアキバファッションをしたPCオタクばっか
(実は2chヘビーユーザって独身男より主婦の方が多いらしいぜ)
・15才の娘は汚れなく純粋で正直。
(少なくとも同い年の少年にコロっと騙されるような15才の女はいないだろう)
・15才の娘のボーイフレンドはロクでもないクソガキ
(娘の男は何であれ気に入らないよね)
うーむファンタジーだなぁ
志田未来は演技は巧いけど、スチル写真でみるとすごい地味な顔。なんかオーラがあるようなないような微妙な感じ。
脚本を書くにあたっていろいろ取材したようですが、本作のスタンスとしては警察より、既存マスコミとは中立、ネット情報には敵対的です。
特にネットについては、たとえば麻生首相邸見学ツアーをつぶした公安警察官の顔をそのままYouTubeに流してしまった件について、マスコミでは絶対できないことができちゃうことについての羨望と、こちとら一線を超えずに我慢するモラルを保っているのにモラルなき無法行為をやってしまうネットへの嫉妬と嫌悪があるように思えます。
本作はフジテレビ資本の制作なんですが、ワイドショーの過熱報道も軽く悪役っぽい扱いなのによく企画が通ったなぁと最初は思ってたんですが、後半ではネットがとにかく超悪役扱いで、ああこれなら喜んでOK出すだろうと納得した次第です。
それにしてもコンピュータの画面を流すときに、字をてろてろ表示させながら謎のラインプリンタの印字音みたいな雑音をかぶせる演出はあまりにダサくないのか? ザ・ハングマンの頃からまったく進歩していない。
まさに黄昏流星群的作品です。