山十邸
神奈川県愛川町熊坂にある古民家の山十邸に行ってきました。
立派な薬医門。薬医門とはよく時代劇で武家屋敷とか寺社門で見られる門です。基本は4本の柱で建てられた屋根付の門で、観音開きの大きな門の横に小さな通用門が併設されている形式。
庭と母屋正面です。松が立派。
上客を迎える座敷。母屋で一番いい部屋。掛け軸もよくわからないけど立派
裏に回ると庭に井戸があります。目下の客は裏庭に回して縁側から応対したのでしょう。
立派な蔵もあります。蔵の中も自由に見学可能。中には古民具や雑貨が展示されています。
山十邸は現地にいた豪農熊坂家の屋敷として明治初期に建てられた民家です。山十は熊坂家の屋号で、ここらの土地の地名でもあります。
昭和19年に満鉄調査部にいた大川周明氏がこの屋敷を買い取り、戦後から昭和32年に死去するまでここに居住していたそうです。満鉄調査部といえば要はスパイだから早めに情勢を判断して帰国したのでしょう。ナチスドイツ敗北必至なんて情報はとうに入ってたでしょうし。
大川周明氏は奇行が多かったようで、自身もA級戦犯として起訴された東京裁判では東条英機元首相の頭をビターンとはたくなど大変なことしでかしてます。
なぜかYoutubeにも東条英機をはたくシーンが掲載されています。
本人は精神鑑定により起訴免除となり結局なんの罪にも問われないまま東京裁判は閉廷してしまったようです。なかなかやり口が巧みだ。
古民家を管理している愛川町の解説では大川周明氏については極力触れない方針らしくて、この手の面白エピソードはまったく紹介されていません。コーランの日本語訳を作った有名な思想家・学者なんて通り一遍のつまらない説明だけで終わっているのが残念。
山十邸のアクセス方法と見学可能日時は愛川町のサイトに掲載されています。
駐車場は5〜6台分はありますが、正面にある道路(中津往還)がかなり狭い道で、軽でもすれ違うのがやっとなので要注意。