でかいの日記帳

2007/4/22 Sunday

蟲師

Filed under: - dekaino @ 20:25 このエントリをはてなブックマークに追加 ��峨見のはてなBookmark被リンク数

蟲師を観ました。
大友克洋が監督で、オダギリジョーや蒼井優などのビッグネームが出演するという、邦画としては大作扱いの製作体制ですが、やはり大友マジックで微妙な出来上がりとなりました。少なくとも出資した人が期待してものとはかなり違う仕上がりです。といっても駄作では決してありません。かなりよく出来ているのですが、興行的にはちょっと厳しい感じです。

マンガの原作や、それを比較的忠実に映像化したアニメ版とは異なり、本作はかなり独特の雰囲気があります。原作は蟲の図鑑にストーリーを付け足したというか、個々の蟲の生態をいかにも理系っぽく明解に分析して読者にみせるのですが、大友監督版は民俗学臭がするというか遠野物語のようによくわからない怪(あやかし)の伝承をそのまま切り取って記録したという、遠野物語に通ずるようなつくりとなっています。説明のないまま隠語が使われるし、旅装束は垢まみれでいかにも臭そうなリアルな表現で、かなり土臭さを感じる作風です。原作は設定としては明治初期というのがあるみたいですが、それを肌で感じる土臭さというものは感じられないのとは対照的です。

原作ではくどいほど説明されている世界観の設定は、本作ではほとんど説明されないというか、説明する必要性をまったく感じていないようです。確かに、ファンタジーを語る上では鼻白む矛盾さえなければよくて、すべての設定をつつみ欠かさず説明する必要はないわけです。しかも何から何まで説明してしまうとよくわからないものにたいする不気味さとか怖さというものがスポイルされてしまうのだから、これはこれで正しいのかもしれません。
考えてみると原作って不気味さや恐さとはまったく無縁の作品ですね。それに対して本作は不気味で重苦しい雰囲気がよく出ています。

もう一点つけくわえるとすれば、本作の主役は実はギンコではなくて虹郎(こうろう)だと思います。ギンコってキャラクターはどうにも狂言回しに都合がいい薄っぺらいもので、いわゆる怪談にでてくるキャラではないので、虹郎を持ち出してきたんじゃないかなぁ。

原作に忠実な映像化を期待する人にはお勧めできません。アニメ版のDVDを買うのがよろしいでしょう。

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