時をかける少女を観ました。何回も映像化されている筒井原作の古典SFですが、今回は細田守によるアニメ版です。
傑作です。なんでこんなに上映館が少なく上映期間が短いのか謎です。
かなり話が翻案されており、原作の主人公の芳山和子の姪の紺野真琴が主役になった後日談的物語になっています。和子本人はなぜか上野の国立博物館の学芸員をやって「魔女おばさん」と呼ばれています。白衣が似合う薬理学者ではないのです(旧作ファンがまず驚くところ)。
一目見てわかるくらい国立博物館の館内は忠実に描写されています。ペルリンの至宝展のポスターが貼ってあることから、この話は2005年の夏の話だってわかります。上野の博物館ファンなら館内シーンだけでも見る価値あり。かなり手間かけてロケハンしたと思われます。
タイムリープの仕組みも原作と変わっており、文字通り跳躍(リープ)するだけとシンプルで絵になりやすいようなってます。確かにラベンダーの香りってのは映像化しにくく、特にアニメだとつらいだろうな。タイムリープシーンはアニメ的で面白い映像表現になってます。しかしラベンダーの設定の残滓として、和子の部屋には高校時代の写真の隣にラベンダーが飾ってあります。原作や大林版を知っている人ならニヤリとするシーン。和子の高校時代にもなにかしらの事件があったことが暗示されます。真琴の記憶も消されなかったのだから、和子も深町の記憶が残っているのだろうか?
ラベンダーの設定がないと理科室がキーポイントの場所になってるのもイマイチ必然性がないのですが、学園内の特殊な場所って意味で必然性があるのかなぁ? ただの旧作ファンへのサービスかも知れず。
主人公の真琴ははっきり言ってバカです。そのバカさはおバカな小学生男子代表ののび太に匹敵します。それも映画版ではなくてテレビアニメ版ののび太です。本作をドラえもんみたいって思う人も多いかも。タイムリープ能力を得たのがこんなバカで本当によかったです。これがデスノートのライトだったら大変です。人命を救うストーリーなので、トゥルーコーリングにかなりダブルところがあるのだけど、あっちは時をかける巨乳医学生でけっこう頭もいいみたいなので、本作は時をかける微乳おバカ高校生として差別化できているでしょう。
少なくとも子供を連れて行くならゲト戦記より時かけです。間違いない。