クリーピー 偽りの隣人
クリーピー偽りの隣人を観ました。ベストセラーのミステリー小説の映画化らしいのですが、原作は読んでいません。かなり設定が変えてあるらしいです。
タイトルとキャストから判断すると、ああまた香川照之が奇人の演技する映画なんだろうなと思ってました。
確かに香川が演ずるキャラクターは変人なんですが、それほどおかしいわけではない。善悪の判断基準が社会の求めるところとはズレているいわゆるサイコパスなのです。
それよりも、竹内結子が演じる奥さんの方がよっぽどやばいです。普通の主婦はいきなり引越しのあいさつで初対面の人に手作りチョコとかあげないですよ。見知らぬ人からもらった手作り菓子とか怖すぎる。しかもその後も対して親しくもないのに作りすぎた料理を鍋ごと持って臨家に突撃しておすそわけとか、常軌を逸した行動、相当に病んでいます。もう香川演じる西野も思いっ切りひいてました。
それだけじゃないです。本作に出てくるキャラはほとんどおかしいです。
川口春奈の演じるPTSDの娘も役柄通りに壊れているし、藤野涼子演じる西野の娘も低年齢ゆえの過適応で壊れてしまっています。そしてマトモそうにみえる元刑事の西島秀俊演ずる大学教授、こいつが一番狂ってます。
犯罪心理学者とサイコパスはまさに紙一重、うわべはとても紳士的で優しい口調で話すけれど、自分の興味の対象である犯罪者や被害者の心理情報を聞き出すためには力づくも辞さない狂気が顔を出します。高倉教授はたまたま社会の善悪と衝突しなかっただけサイコパスなのです。
だからこそ最後のシーンで高倉は西野に操られずに自分の意志で行動できた。サイコパスにはマインドコントロールは効かなかったというのがラストシーンの正しい解釈だと思います。
つまり、世の中狂った人だらけ、怖いですね という作品です。ミステリというよりホラーですね。