殿、利息でござる!
殿、利息でござる!を観ました。
磯田道史の著作「無私の日本人」の中の穀田屋十三郎の話が原作です。仙台伊達藩の話。ちなみに磯田道史は武士の家計簿の本を書いた人。
つまり、歴史経済学の観点で研究された史実の一事例が元ネタです。
とはいえ、商業映画としてはお涙ちょうだいの浪花節的演出がメインになっています。
当時の貴金属の希少価値を基本とする貨幣だと、どうしても経済規模の成長に見合うだけ、金や銅の流通量が増えていかないため、デフレになってしまいます。デフレはどんどんモノや土地の額面価格が下がるため、借金したら元本を返すのだって困難で、利息をつけるなんて絶対に無理となります。
そうなると経済の血液として貨幣が機能しなくなり、不況となるしかありません。
いまみたいに不兌換貨幣でマイナス利息の時代とはまったく違うデフレ経済。
中産階層の商工業者が一番困るわけですが、なん公共事業で現金を必要とするお殿様に、お金を貸して高利で運用してもらおうというすごいことを考えて実施してしまいます。自分たちではとても高利運用できないが雄藩の公共事業ともなれば利回りもでかいはず。そして藩としても事業の初期投資のための資金の不作に困っているところなので渡りに船の話です。
お金の面だけならwin-winのいい話ですが、侍と町人の立場というものあって難航するあたりがドラマです。
実話だけあって、中心的役割を果たした造り酒屋の末裔がまだ酒屋をやってたりして郷土史を感じさせるいいお話です。