イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密
イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密を観ました。当時世界最高難度と言われたナチスドイツ軍のエニグマ暗号の解読に挑戦と戦後の暮らしまでのアラン=チューリング博士の半生を描く作品です。
原題は"THE IMITATION GAME"、邦題は現代のカタカナ化+補足情報といういつものパターンです。ここでいうThe imitation gameとは別名チューリングテストの名で有名な、人工知能が人間と同等の知能を有するかどうか確認するための実証実験のことです。チューリングにふさわしい題名です。
実録歴史再現ドラマとして過度の演出をすることなく淡々と史実を描写していきますが、チューリングの人間性がメインテーマになっています。明らかに変人、発達障害や社会不適応、同性愛など当時の倫理観では明確に犯罪者扱いされるほど外れた人物だが、対独戦争においてかつてないほどの功績を上げた人物でもあり、しかもその功績は国家機密として長らく伏せられていたという高いドラマ性が、チューリングという人物像に神秘性を与えます。
エニグマの暗号システムはとてもよくできており、運用さえ気を付けていればチューリングの解読機械にすら解かれることはなかったと思われます。劇中では定時の気象報告、文末の定型句 “HEIL HITLER"などが糸口だったとされていますが、実は 単に VVVVVVV という平文をそのまま暗号化して流した電文も少なからずあったようで、このV連続文がものすごくまずかったんですね。V連続はいわゆる試験符号。混乱を招くための偽報電文を交えていたのですが、かえって解読のヒントを与えてしまった皮肉。ドイツ軍はもう少し通信士に強い暗号とするための知識をあえておくべきでした。少なくとも文頭数文字はサイコロ振って決める意味のないゴミ文字(Salt)を入れることを徹底していれば第三帝国は本当に不滅だったかもしれません。
MI6とチャーチル首相の不和さ加減がリアルでよい感じな戦争映画であり、理解されない天才の不遇の最期を描く映画です。
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