でかいの日記帳

2014/12/28 Sunday

劇場版 寄生獣

Filed under: - dekaino @ 9:45 このエントリをはてなブックマークに追加 雁 絲のはてなBookmark被リンク数

劇場版 寄生獣を観ました。
ネットでは駄作という評が流れていましたが、確かにイマイチな感じです。
でも、山崎貴監督作品としてはよくできていると思うんですよ。原作を改変してまできっちり尺を短くテンポ良くしているし、饒舌な過剰説明もないし、過去に言われてきた欠点をすべて修正していて、商業作品としてソツなくできている。しかも原作をスポイルするような失点もない。タイトルが前後編ものとわからないようになっていて、決着がつかないまま終わってしまう納得のいかなさはありますが、原作マンガでは島田を倒したあたりでそれなりの盛り上がりはあったはず。なのに確かに本作はつまらない。なぜでしょう?

本作は原作にあった恐怖・ホラー要素が皆無なんですよね。CGの出来がよくリアルなだけにさらに怖さが無くなっているみたいな感じ。なんか、ディスカバリーチャンネルかNHKのダーウィンがなんとかみたいな番組の猛獣の生態密着特集みたいな感覚です。ものすごくリアルにわかりやすく獰猛さは伝わってくるのだけど、視聴者は全く怖くない。絶対に割れないガラス板のこちら側から安全にみている感覚なのです。

たとえば、リドリー=スコットのエイリアンは情報も少なく成体の全身像もほとんど画面にでてこないのにものすごく怖かった。ノストロモ号の乗務員に感情移入し彼らの感じる恐怖がビンビン伝わってきたのですが、本作にその要素は皆無です。CGを駆使した科学解説番組に過ぎないのです。これが演出の差というものか…

せめてSFとして新しい見地でも見出せばまだ面白いとおもうんですけど。寄生獣ってSF考証的には相当穴があるので、そこらへんをうまく説明する原作にない展開があるだけでも面白くなると思うんですよ。たとえば脳に寄生した寄生獣は宿主の同種を食べるわけだけど、消化器系は宿主のものを使う設定です。でも人間の胃腸が生の人肉をちゃんと消化できるかかなり疑問なわけです。胃の中から指が出てくるくらいあらい咀嚼だし大丈夫なのか。人の消化器系は火を通した食べ物に適用する形で進化してきたのだから相当の負担でしょう。また、感染症もがんがんうつりそう。肝炎とか一発で感染間違いなしです。性病なんかよりずっと効率よく、宿主の身体は感染症のデパートと化してしまうはず。人肉食を我慢するとか選挙に出馬するとか言ってる場合じゃない大問題だよ!!

完結編は面白くなるかどうか、お手並み拝見というところです。

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