ジャンゴ 繋がれざる者
ジャンゴ 繋がれざる者を観ました。言わずと知れたタランティーノ作品ですよ。マカロニウェスタンですよ。
期待を上回るエログロ、下品さが素晴らしいです。ガンガン血が流れます。そしてニガー連発。
ニガーニガーニガーニガー×9999。3時間弱の長い尺で何回ニガーってセリフがあったのやら?
しかし尺が長いのにまったく退屈しません。つーかビッグネームのデカプリオやサミュエル=ジャクソンが1時間以上たたないと出てこないですよ。Zガンダムが3クール目でやっとお目見えみたいなもんですよ。
時代は1858年。南北戦争が始まる数年前の米国南部。黒人奴隷が人権もくそもない扱いを受けていた時代と場所での物語。
やっぱアツいのは奴隷頭のスティーブン(サミュエル=ジャクソン)。主人に対する忠誠というか献身というか、鬼気迫るものがあります。
そしてフランスかぶれなのにフランス語がわからないという設定のキャンディ家の当主カルヴィン(デカプリオ)。おフランス好きのイヤミみたいなヤツですが、もっと深い設定ですよ。
だってテネシー州って劇中の100年前まではフランス領だからね(フレンチインディアン戦争に負けたフランスがイギリスにミシシッピ川以東を割譲する)。つまりテネシーの旧家のキャンディ家はフランス系の家系ですね。周囲に自分をムッシュ=コンディと呼ばせるのはギャグでもシャレでもなくて至極当然のキャンディ家の伝統なわけですよ。なのにフランス語が分からないという、移民3世が母語わからなくなってるみたいなもの悲しさと、それゆえに母国文化にこだわる固執、そして大デュマがクレオール(白人と黒人の混血)だってこともしらないイノセントな無知さ。もう臭い材料がごちゃ混ぜになったキャラクター、どこを切っても異臭がします。
また賞金稼ぎのドイツ系移民の歯医者Dr.シュルツは過酷な新世界で飄々と生き抜いている移民一世感があり、本作は、白人vs黒人奴隷という構図のほかに、古い時代に入植した古参白人vs新しく来た新参白人という構図もあります。
という細かいことは気にせずにガンガンぷっぱなしてガンガン血が飛び散る。それがジャンゴ。
ドイツ語が話せる女奴隷はヒロインなのに、最近のハリウッド映画らしからぬ、何もしない受け身一辺倒のヒロイン。逆に新鮮です。
古きマカロニウェスタンの香りと派手な流血アクションがたっぷり楽しめる作品。素晴らしいです。