カレル=ゼマン展
なんん渋谷区立松涛美術館で開催されているカレル=ゼマン展にいきました。
チェコスロバキアの人形アニメ・特撮映画・切り紙アニメの監督、カレル=ゼマン(故人)の企画展です。
カレルゼマンの特撮作品「ほら男爵の冒険」と「悪魔の発明」日本公開企画の予告編
(今回の企画展とは無関係)
チェコの伝統芸のガラス細工を使った人形アニメ。Inspirace(1948)
当初の志しは高かったものの壊れやすいガラス細工を使った製作は困難を極め、完成の暁にはゼマンは「ガラス壊れ過ぎ!」との言葉を残し、ガラス細工アニメはこれ1本きりとなったそうです。
ゼマン特撮の代表作、ジュール=ヴェルヌSF小説を映像化した映画 悪魔の発明(1958)
手間暇かけた光学合成の映像がすごい。背景やメカがすべて原作小説の挿絵とおなじ銅版画調(OReillyの表紙みたいなの)の背景書割や、メカの切り紙アニメがあり、独特の雰囲気を出している。劇中には潜水服を着た男と大ダコが闘うシーンもあり海底二万海里からの着想が含まれる。冒頭には宇宙ロケットが飛ぶシーンもあってなかなかのSFマインドを感じさせる。ゼマンはヴェルヌの大ファンだったとのこと。
晩年は切り紙アニメ作品を数多く製作した。Krabat(1977)
切り紙アニメは人形アニメや光学合成特撮ほどの手間暇はかからない。いま見ても全然古びておらず、むしろ現代風な雰囲気。現代の視点だと出来のいいフラッシュアニメのように見えます。
映像作品そのものはいつでもどこでもYouTubeで見ることができるいい時代になりましたが、これらの作品を作った貴重な小道具や絵コンテなどが松涛美術館で展示されています。作品も毎日2本上映されています。大人300円でこのサービス さすが区立美術館は太っ腹。