第9地区を観ました。
南アメリカのヨハネスブルクに飛来したエビ(prawn)型異星人の難民キャンプを舞台にしたアクションSF映画です。
エビ型異星人のビジュアルがマンガっぽいのとリアルっぽいのが混じった感じで面白い。えびボクサーやいかレスラーみたいなギャグ風味もあるし、アバターみたいなSFでもあります。
難民キャンプで暮らすエビ達は無気力ですさんだ生活をしていますが、種として劣っているわけではなさそう。身体能力は平均的地球人より高そうだし、英語だって普通に話します。ただ、バルタン星人が話す日本語のように語彙・文法は完璧だけど、音質が人間離れしているだけです。実は知能が高い?
エビたちが持ち込んだ道具も、わざわざ地球人には使用できないようにロックされていることを考えても、地球の技術水準より上を行ってそうです。
エビたちは自分達の食料を生産する知識を持っていないため、地球人に飼い殺しされるハメになったと思われます。そういう意味では愚かな連中かもしれません。
でも、地球の軍隊にあてはめて考えるとどうだろう。
沖縄やアフガンやイラクにいる米兵って、もし本国との補給や通信が途絶えて駐屯地に孤立してしまったら、同じように食糧を自給できないんじゃないかと思います。まぁ彼らは難民扱いされるのを潔しとせず武力を使って現地人から食料を奪うでしょうけど。
その面で言えばエビ達は強力な武具を持っているのにそれを使わない分地球人より理性的かもしれません。
南アフリカのアパルトヘイト政策下の隔離地区の貧困民に食料生産手段も職も与えずただ飼い殺しにしていたら、人口はどんどん増えていきますます問題が複雑になった、みたいな話をSFという口実をつけて皮肉的に表現しているような映画です。
もちろん、難しいことを考えずにアクション映画としても楽しめます。