笑う警官
笑う警官を観ました。
久々の角川春樹監督の大手配給映画。恐竜物語REX以来だから15年以上経ってます。思えばREXは封切日に見に行って映画館で観ることができてラッキーだった。次週には大麻で角川春樹が逮捕されて上映自粛になってしまったのです。
今回大手配給といっても角川映画じゃなくて東映が配給です。だって角川映画は春樹の敵だから(角川映画は実弟の会社。要は大麻事件も含めて角川家のお家騒動)
さて、笑う警官ですが、佐々木譲の北海道警裏金疑惑事件を元にした警察小説「うたう警官」が原作ですが、本作はかなり原作とは違った味付けとなっています。
演出はかなり古い。古いというのは悪い意味ではなくて、良い意味で古いのです。今風の主演キャストの名前だけで人を呼ぶスタイル(ゼロの焦点の広末とか)ではなく、ちゃんと演技ができる俳優を集め、長回しカットを多用したクラシカルな雰囲気の演出です。しかも長回しであることがまったく鼻につかない、もしかしたら長回し演出に気づかない観客がいるんではないかと思わせるくらいです。アクションは極力少なく、ひたすら登場人物同士のセリフ劇をメインに押し立ててストーリーを進めていきます。
BGMも作劇を盛り上げる方向ではなく淡々とジャズを流すのみ。ここは監督の美学なんだろうけど私はあまり好きではない。ジャズかぶれの年代の人にはたまらないのだろうけど。
話はどんでん返しがいくつもあり、巨悪というよりは小悪党ばかりが絡み合う構図が、警察腐敗モノにありがちな勧善懲悪でも諦観でもない、別の形の決着となり、なんか角川春樹は老いてなお盛んという感じです。
娯楽映画としてまぁまぁ見られるレベル。でも見所は役者の演技の映画だと思います。