BBCワールドニュース 世界の食文化 シーズン2 第一回
昨年に紹介したBBCワールドニュース 世界の食文化(原題:Cooking in the Danger Zone)のシーズン2が今月から始まりました。
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シーズン2は全部で5回。以下が予定されています。
第一回ビルマ・カレン族のご馳走ハクビシン
第二回ロシア・チェルノブイリ産の野菜を試食
第三回カナダ・イヌイットのクジラ料理
第四回インド・ビハールでネズミを食する
第五回ベネズエラ・チャベス大統領とカピバラのディナー
シーズン2もかなり濃厚な内容です。
さて第一回の「ビルマ・カレン族のご馳走ハクビシン」を少し紹介します。
邦題でミャンマーと表記せずあえてビルマと書いているのは、原語でもMyanmarではなくBurmaと表記しているからです。
カレン族はビルマ国内のタイ国境に近い地域に住む少数民族で現ミャンマー政権で強い弾圧を受けています。そのためカレン族の一部は政府に対抗して反政府勢力を組織し武力闘争を行っています。イラクやトルコの国境近辺に住むクルド族のような存在と言ってもいいでしょう。
カレン族の居住地域は現ミャンマー政府の施政域外のため、ミャンマー国内からのアプローチは困難。そのためタイ側から国境を越えて密入国します。手引き&通訳はタイに亡命したカレン族の男。いきなりハードな展開で始まります。
密入国した先には、カレン族の居住地がありました。普通の村のようですが周囲の農地は政府軍が施設した地雷だらけ耕作は不可能。国内への交通路も政府軍が遮断しているため、タイ側から輸送される援助食糧だけが頼りの事実上の難民キャンプとなっています。
村から先はカレン民族解放軍(KNLA)、要は反政府軍とともに行動します。彼らの地域パトロールに同行し、戦場の食事のご相伴に預かろうというのが今回の企画です。
兵士が持っているのはAK47ですね。ソ連製か中国製かは不明。
彼が部隊長の少佐。軍のキャリアは30年だそうです。
彼の保護下で3泊のパトロール旅行に出発です。宿泊地はKNLAを支援するカレン族の隠し村のこともあり、または野営もあり、少なくとも楽な旅ではありません。
カレン族の村ではわざわざ豚をつぶして歓迎の宴を開いてくれました。
これは野営地での炊事の準備。
コメと調味料以外の食材はすべて現地調達です。調理器具もありあわせのもので作ります。
これは竹で飯盒を作ろうとしているところ。少佐自ら細工しています。
細工した竹筒にもち米を詰め込んで炊きます。
おかずは銃で狩った鳥や小動物です。
鳥もご馳走ですが、ジャングルには鳥以外にもご馳走がいます。
左がハクビシン、右がノロマザル(ロリス)です。
ノロマザルは絶滅危惧種らしいですが、軍隊の食欲の前にはそんなの関係ない。
BBC撮影隊はハクビシンのことをcat(猫)と呼んでました。猫に似てなくもないけど、猫じゃないだろう、コイツ。
竹筒で湯を沸かす様子。
人類が土器を発明する前は焼け石を水に投げ込んで湯を沸かしていたという説がありますが、そんなことしなくても竹筒で事足りていたのかも。
完成したハクビシンの煮物。
撮影隊は猫のシチューって呼んでました。
少佐自ら、竹筒から炊けたご飯を取り出します。
竹の香りがうつってかなり美味らしいです。
猫を食うのは初めてといいながら美味そうに食べるレポーター
犬料理のときはあんなに渋って結局食べなかったのが嘘のようです。イギリス人にとって犬と猫の違いはものすごいものがあるようです。
長い旅も終わり、KNLAとの別れのとき。
少佐はお土産にと竹細工の飯ごうを撮影隊に贈りました。KNLAも世界世論を味方につけようと、マスコミへのサービスはよいようです。