21
21を観ました。邦題は「ラスベガスをぶっつぶせ」
MITの学生がラスベガスのカジノでブラックジャックでカウンティングというイカサマで大もうけとしたという実話本を映画化した作品。
実話本が出版されたのが1990年代なので話は80年代後半くらいだと思われます。でも映画では中途半端に現代の話にしてしまっているので妙な不整合が目立ちます。
空港は国内線でも厳重なセキュリティチェック、これは舞台設定が911以降であることを示しますが、その割にはロボットコンテストで8KバイトのROMと16KバイトのROMを取り違えたとかトンチンカンなこといってます。しかもパーツの調達に5日もかかるとか、どう考えても1980年代の会話です。
いくら小規模システムといっても21世紀に8Kバイトとかありえないし、電子デバイスだってDigi-Key使えば即入手可能。
また、数学の教授が学生イカサマ団の元締めなのですが、こいつの授業もなんかいい加減。どこが非線形微分方程式の話なんだか? 実は数学史の授業だったというならまだ納得できるのですが。まったくなってない。
ブラックジャックというギャンブルは、ディーラーはルールに従って機械的にカードを扱うだけなので、プレイヤーとディーラーの心理戦という要素はまったくありません。間違いなく言えることはカイジの題材になることはありえない、純粋に自分の天運に賭けるギャンブルなわけです。
しかし、カウンティングというイカサマを使うと勝つ確率を上げることができます。ディーラーが使うカードが入った箱の残り枚数が減ってくるとプレイヤーの勝率は初期値より変動してきます。ディーラーが過去に出したカードを覚えておくことにより、変動したプレイヤーの勝率を正確につかむことができ、期待値か1を超えたテーブルでのみ勝負をすれば長期的には確実に勝てるわけです。
つまり
1. カード残り枚数が少ない
2. たまたまプレーヤー側が有利となった状況
という2条件が揃ったテーブルでしかプレイしなければいいわけです。
これを探すために多数の監視役を必要とするわけですが、ここらの説明はつまらないせいか劇中ではくわとく説明されません。
主人公達はゲームの面白さにのめりこんでいくという描写がされていますが、実際はツラいと思います。だってコレ作業を続けるだけ、PGでの不毛な経験値稼ぎ作業のようなものだから、退屈でシンドいはずです。
その分、仕事後のバカ騒ぎは楽しいだろうと思います。
時代考証のちぐはぐな感じがこそばゆいが、東海岸での灰色の生活と西海岸の極彩色の生活の対比が面白い映画です。
50年後くらいにこの映画を観たら、2008年の技術レベルを誤解するだろうな。