それでもボクはやってない
それでもボクはやってないを観ました。痴漢冤罪の話です。
かなりリアリティを追求している印象がありますが堅苦しくはありません。イッセー尾形のようにリアルに表現するがゆえにコミカルさが強調されているような映画です。法廷の傍聴人の服装や髪型が変わっていくことで時間経過や季節感を表現するあたりとか非常に巧いです。
結末はネタバレ回避で書きませんが、私はリアルに徹した結末だなと思いました。人によっては役人って汚いって感じるでしょうが、私は警察、検事、判事は自分の範囲の中で目的に向かって最大限努力してるだけに感じられました。結果として理不尽なことになってますが、それは各個人が悪いんじゃなくてシステムが悪いんでしょう。
役人って、自分が言ったことと違うことが書かれてる供述書にサインする人間はそうそういないと思ってるし、もしサインする人がいたらその嘘をつく行為で生じる不利益は当然当人がかぶるべきと本気で思ってます。私もそんなんにサインするの愚かだと思う。本作の冤罪かぶった金子クンも変なサインしたのが一番の失態だったでしょう。つきつめると、国は愚か者を守るべきか否かという話ですね。
でもサインしないからって釈放しないのは酷いなと思う。そこはシステムの悪意を感じます。
愚か者に優しい社会よりも愚かな人間を作らないような教育を充実させた社会の方が僕は好きです。義務教育で刑事訴訟手続きとか教えるべきだと思う。ついでに簿記会計も義務教育でやった方がいい。
見る人の数だけ違う意見が乱立する映画だと思います。
1件のコメント »
この投稿へのトラックバック URI
https://wwws.dekaino.net/blog/index.php/archives/2007/02/03/336/trackback/
Leave a Comment
改行や段落は自動で挿入されます
メールアドレスはブログ上には表示されません
利用可能な HTML タグ : <blockquote> <code> <em> <i> <strike> <strong>
取り調べをする立場の人間(まあ検事とかは当然)は長時間の取り調べでしつこくやれば、ほとんどの人間がやってないことでもやったって言ってしまうことを知ってるよね。刑事訴訟法のみならず、憲法でも特に明示しているくらいな事で一般法学生でも知ってる。そういう意味では一般人(そういうことを勉強してない役人)の方が自白が本当の事だとは限らないということを解ってないんだよね。その為の裁判のはずなのに・・・まあ、そこらへんを一般人に気づかせる映画なのかな?実のところの問題はそういう自白の不安定さを知っているのに、その他の補強証拠と関連して事件と関わっていることが濃厚だと推察される場合に、そういう自白を前面に押し出してくるって事なんだよなあ。
Comment by たかば - 2007/2/5 Monday @ 7:21